(海渡雄一弁護士のフェイスブックから引用)
 このフェイスブックでも告知してきました拙著『東電刑事裁判 福島原発事故の責任を誰がとるのか』の印刷が仕上がり、私の手元に納品されました。12月6日の発行となっていますが、今週末には、書店にもネットでも販売できるようになると思います。
東電刑事裁判 福島原発事故の責任を誰がとるのか | 海渡 雄一 |本 | 通販 | Amazon


 2012年の告訴状は政府事故調の認定した事実関係をもとにしてきました。政府事故調の調査の過程で作られた調書や刑事捜査の過程で集められた証拠から、次々に新しい事実が明らかになりました。
 推本の長期評価に基づいて、福島沖で津波地震が発生した場合の15.7メートルの津波高さは設計基準津波を決めるために計算されたものであり、2008年2月には、津波対策を実施する方針が役員も出席した御前会議で了承されていたこと、数百億円に達する工事コスト、工事開始を告知したときの原子炉停止リスクを恐れて、津波対策の実施を土木学会に研究を委託して先送りしたことなどが明らかになりました。
 指定弁護士が9月に提出された控訴趣意書の新たな内容も取り込み、9月末に言い渡された生業訴訟の仙台高裁の判決の重要判示なども紹介しています。巻末にはこの事故の被害者の生々しい声も収めました。
 来年春には刑事裁判と併行して進めてきた東電株主代表訴訟の証人尋問が始まります。夏には刑事事件の高裁審理も始まると思います。
 この本は3.11後、精魂傾けて取り組んできた東電刑事裁判で昨年九月に受けた屈辱の永渕裁判長による東電を免罪した被告人三名の無罪判決をなんとしても覆したいとの一念でまとめたものです。
 高校生にも読めるものとするために、優秀な編集者の指導の下に、たくさんの脚注やコラムも作り、科学的な基本から、法的な論争点までが、わかりやすくまとめられたものです。
 表紙や冊子中に、山本宗補氏の撮影された素晴らしい福島の写真が使われています。扉には、武藤類子さんが作詞された「ああ福島」の歌詞を掲載しました。美しい福島が原子力災害によって蹂躙されたことが想起できるような、体裁にできたと思います。 
 これまで、たくさんの本を買い来ましたが、この本はとりわけたくさんの方に手に取って、読んでいただきたいと思います。