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報告とお礼:公開学習会 国際人権法における「居住の権利」
http://starsdialog.blog.jp/archives/63640231.html
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記事のアドレス http://starsdialog.blog.jp/archives/64765753.html
 

政府とすべての地方公共団体(自治体)への質問と要請 (試案,9月29日修正)

災害避難者への住宅支援の打ち切りに関して,以下の 3 項目について,政府,地方公共団体(自治体)として会議で検討した事実はあるか。事実があれば議事録の公開を請求する。事実がなければ検討を要請する。
 

(1) 「経済的,社会的および文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)について。
第 11 条では,すべての人に適切な居住の場所が保障されるべきことが規定されている。
この権利の内容は国連社会権委員会の一般的意見(全員一致の確立された見解)第 4 として補強されており,「安全に,平穏に,人間としての尊厳をもって生きる場所をもつ権利」とされている。
また,一般的意見第 7 では,「強制退去(強制立ち退き)は人権侵害にあたるおそれがある」ことが強く警告されている。この規約には法的拘束力があり,政府とすべての地方自治体も順守義務があるので,順守する立場で検討されるよう要請する。

 
(2) 国連 「国内強制移動に関する指導原則」 について。
この指導原則自体に法的拘束力は存在しないが,すでに世界標準として確立されており,フィリピンでは国内法として立法化されているほか,アフリカ連合では 15 か国の地域条約として発効している。
法的拘束力の有無は形式の問題であり,内容の検討を要請する。
とくに,今回の住宅支援の打切りが,この指導原則に抵触するうたがいがあることについて,見解を求める。
原則 6.1. すべての人は,自らの住居または常居所地からの恣意的な強制移動から保護される権利を有する。
原則 6.2. 恣意的な強制移動の禁止には,次の場合における強制移動を含む。(d) 災害においては,被災者の避難がみずからの安全および健康のために必要とされない場合。(編注:この場合の「避難」とは被災者本人の意思による避難ではなく,本人が必要としていない「公的機関による強制移動」を意味する。)

また原則 7, 3, (c) において,強制移動の「対象者の同意が求められる」。
原則 11. 1 において「すべての人は尊厳ならびに身体的,精神的および道徳的に健全であることに対する権利を有する」とされている。住宅支援の打切りは深刻な精神的苦痛をあたえるおそれが強い。
原則 14. 1 すべての国内避難民は,移動の自由および居住選択の自由に対する権利を有する。
原則 15. 国内避難民は,次の権利を有する。
(a) 国内の他の場所に安全を求める権利
原則 18. 1 において「すべての国内避難民は,適切な生活水準に対する権利を有する」とされている。
おなじく原則 18. 2 において「管轄当局は,状況のいかんを問わず,かつ,差別することなく,少なくとも,国内避難民に対して次のものを与え,かつ,これらを安全に得ることを確保する」
(a) 不可欠の食料および飲料水
(b) 基本的な避難所および住宅
(c) 適切な衣類
(d) 不可欠の医療サービスおよび衛生設備
とされている。

 
(3) 国連人権理事会「グローバー勧告」について。
2013 年 5 月の国連人権理事会に報告された「グローバー勧告」では,国際法および日本の国内法を根拠として重要な勧告が列挙されている。自治体としてこの勧告の当事者(勧告を受ける立場)であると認識されているか,見解表明を求める。(報告書の文面では日本政府への勧告となっているが,この場合の日本政府というのは代表した表現であり,すべての地方政府(自治体)も勧告を受ける当事者であるという見解がありうるが,どうか。)
とくに被災者の住居の確保について
このグローバー勧告第 69 項では,「年間放射線量 1 mSv を超えるすべての地域において被災者が避難,居住,帰還のいずれを選択した場合であっても被災者が必要とする移転,住居の確保,雇用,教育,その他の必要不可欠の支援に関する財政支援を提供するように強く要請する」としている。

以上

2016年8月7日 災害避難者の人権ネットワーク
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注: 国連「国内強制移動に関する指導原則」は,災害や紛争により移動(避難)を強制された人,および移動を余儀なくされたすべての人に適用される。
なお,当事者はすべての事実を正確に記録しておき,弁護士に相談することや,共同の学習,討論,連帯づくりを組織すること,可能ならば,権利侵害に関係する部分について,国連公用語への翻訳を準備することも選択肢とおもわれる。
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(関連記事)
「国内避難民の国際的保護 越境する人道行動の可能性と限界」(勁草書房)
http://starsdialog.blog.jp/archives/68434471.html
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国際連合広報センター
経済的,社会的および文化的権利
http://www.unic.or.jp/activities/humanrights/document/economic_social/
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